

月8日の夕方、富士山の下山道で登山者が倒れ、その後死亡するという事故が発生しました。亡くなったのは東京都東久留米市に住む会社役員の朝川和彦さん(55)で、この夏山シーズンに入ってから山梨県側で登山中に命を落としたのは2人目となります。
警察などによりますと、事故が起きたのは8日午後5時50分から6時ごろにかけて。標高およそ3,350メートル付近にある富士山8合目5勺の下山道を、朝川さんは妻と2人で歩いていましたが、突然体調の異変を訴え、その直後に意識を失って倒れたということです。妻はすぐ近くにあった山小屋へ助けを求め、通報を受けた山小屋の関係者は山岳救助用の特殊車両「クローラー」を使って朝川さんを5合目にある総合管理センターまで搬送しました。しかし到着後、駆け付けた医師によりその場で死亡が確認されました。
朝川さんは8日午前6時ごろ、山梨県側の富士山5合目から登山を開始。約11時間後の午後5時ごろには山頂に到達し、休憩を挟んで下山を始めていたとみられます。警察によると、遺体に落石や滑落による外傷は確認されておらず、体調急変が事故の直接的な要因とみられますが、正確な死因や当時の状況については現在調査が進められています。
富士山は標高3,776メートルと日本で最も高く、夏山シーズンには国内外から多くの登山者が訪れます。しかし、高地での酸素濃度低下や長時間の登山による疲労、急激な天候の変化などが体に大きな負担をかけ、高山病や心疾患などの危険が伴います。今年もすでに複数の救助要請が寄せられており、今回の事故は改めて安全登山の重要性を示すものとなりました。
警察や山岳関係者は、登山前の十分な体調確認、こまめな休憩や水分補給、無理のない登山計画の立案を呼びかけています。同行者に異変があった場合はためらわず救助を要請することが、命を守るために不可欠だとしています。

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